11月8日、イスラエルのガザ地区砲撃で市民18人死亡。写真はイスラエル軍の砲弾により負傷し搬送される少年(2006年 ロイター/Ibraheem Abu Mustafa) 【エルサレム=三井美奈】パレスチナ自治政府内閣を率いるイスラム原理主義組織ハマスの最高幹部メシャル氏は8日、亡命先のシリアで記者会見し、対イスラエル攻撃の全面再開を主張した。
同日朝、ガザ地区でイスラエル軍の砲撃により18人が死亡した事件に対する報復で、ハマス軍事部門は、イスラエルだけでなく同国を支援する米国も攻撃標的だとする声明を出した。イスラエルとハマスの衝突が一気に拡大する恐れがある。
イスラエル軍は8日夜、ハマスのメンバー2人をミサイルで殺害し、事件後もガザ攻撃を続けている。情勢悪化の懸念が高まっていることから、国連安全保障理事会は9日、パレスチナをめぐり緊急討議を行う。
パレスチナでは、アッバス議長率いるファタハとハマスの間で「挙国一致内閣」設置を目指す交渉が続いていたが、ハニヤ首相は8日、「交渉は当面停止すべき」と語り、事態緊迫の中で政治交渉は事実上、困難だとする立場を示した。アッバス議長は、この直後にハニヤ首相と会い、交渉継続をアピールしたが、実質的討議には至らなかった。
また、アッバス議長は、パレスチナ武装勢力によるロケット弾攻撃について、「イスラエル軍の攻撃を正当化する口実になる」と述べ、自制を求めたが、議長が率いるファタハ系武装組織ですら対イスラエル報復を主張しており、議長の指導力は急速に衰えている。
一方、イスラエルのオルメルト政権は8日、砲撃事件について遺憾の意を表明し、調査を約束したが、「パレスチナ住民を『人の盾』にしてロケット弾攻撃を続ける武装勢力に責任がある」(国軍)との立場を変えていない。ハマスが報復に出れば、イスラエル側も「自衛」のため反撃に出る方針を貫いている。
(2006年11月9日19時45分 読売新聞)