【外来種のミドリイガイ(白浜町で)】 外来生物法で要注意外来生物に指定されている二枚貝ミドリイガイ(イガイ科)が、田辺湾で初確認されてから10年で、生息域を湾全域に広げていることが、京都大学瀬戸臨海実験所の久保田信助教授と同実験所元職員の田名瀬英朋さんの調査で分かった。今後も生息域が拡大する可能性があり、在来種の貝類や水産業に与える影響が心配されている。
田名瀬さんによると、田辺湾でミドリイガイが生息しているのは、白浜町古賀浦や桟橋、田辺市の磯間、文里、内之浦など外海の影響を受けにくい内湾性の場所。ここ数年で急増、今年は特に同じような場所に生息する外来二枚貝ムラサキイガイが夏の暑さで減ったため、ミドリイガイが視覚的にも目立ってきたという。10年前は殻長3センチ前後と小さかったが、いま確認されているのは最大で10センチを超える。さらに1センチ前後の今年生まれた個体まで見つかっており、紀南地方で繁殖していることを裏付けている。
久保田助教授は11月下旬、田辺市磯間から白浜町桟橋にかけて田辺湾内12カ所を調査。7カ所でミドリイガイを確認した。実際の生息場所はこれより多いとみている。
ミドリイガイがこのまま増え続けると、港湾施設や海水取水口、排水口への付着汚損、養殖貝類種苗への付着による収量減少など、漁業への影響も考えられるという。
ミドリイガイは台湾以南、インド・西太平洋に広く分布する南方系の二枚貝。日本では1967年に兵庫県御津町で初確認されて以来、80年代に大阪湾、東京湾で相次いで見つかり、90年代には伊勢や三河湾に広がった。
和歌山県では、80年3月にみなべ町堺漁港で死骸(しがい)が1個見つかり、92年8月と11月に串本町潮岬の海岸で約30個の死骸が確認された。この時は現場周辺で成長したものか、人為的に運ばれたものか判別できなかったが、96年1、2月に、白浜町の古賀浦の浮桟橋、阪田の養殖いけす、大蛇島の養殖いけすで、相次いで生きた個体が見つかった。2000年12月には、紀北で初めて和歌山市雑賀崎漁港でも確認された。
久保田助教授は「ここ数年、特に目立ち始めた。温暖化の影響で最適な環境ができたからだろう。今後も注意深く観察していきたい」と話している。
12月19日17時1分配信 紀伊民報